Text by 中野誠志
絞りを開放して撮影すると、被写界深度が狭い写真となります。
開放絞りには前ボケ、後ボケの効果もあり、ハイキーな露出を組み合わせると柔らかい水中写真表現ができます。
絞りを絞ったシャープな表現の対極となるソフトフォーカス表現ですね。
ボケを活かした写真を撮るには、コンパクトデジカメではなく、ミラーレス一眼~フルサイズカメラを使って、50ミリf1.4などの解放f値が小さいレンズや、中望遠~望遠マクロレンズを開放絞りで使用すると、柔らかいボケ味を活かした水中写真を撮影することができます。
優しいボケのある写真は特に日本で人気のある表現方法で、コンパクトデジタルカメラでは難しい表現なので、こうした写真を撮りたいということでデジイチデビューされる方も多いです。
こうしたソフトなフォーカス表現のコツは、絞りを開放に近い状態で撮ることや、焦点距離が長めのマクロレンズを使うことなどです。
100ミリクラス以上の長めの望遠マクロなどの場合、解放f値での撮影ではピントが結構薄くなります。
例えば、『EF100mm F2.8Lマクロ IS USM』で、f2.8の解放絞りで最短撮影距離30cmの場合の被写界深度=約1.5ミリとなるそうです。
そんな被写界深度でも、ピントはきちんと一番強調したい位置に『入れる』ことが重要です。
上体が浮いている状態では至難ですので、きっちり両肘あたりを海底に接地して、微調整することで目的の位置にピントを入れます。
<注意点>
開放絞りで撮影する場合に被写体が海底にいると、被写体の斜め上から撮影してしまうことになり、写真にピントが合っているところと、ボケているところの境界線がくっきりと出てしまうことがあります。
これは写真の完成度を損ないますので、被写体が水底にいるような場合は、なるべく被写体と撮影者・カメラが水平になるようにローアングルで撮影しましょう。
それから、クリスマスのイルミネーション撮影などで定番の手法の1つに、点光源の丸ボケ(玉ボケ)写真があります。
水中写真でもこのように光合成で作られる気泡を活用したり、白い砂粒など点光源となるものを活用すれば、立派な丸ボケ写真を撮影することができます。
Text by 中野誠志
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