Text by 中野誠志
水中写真の世界には、実に多様な写真が存在します。
水中で撮影した写真が水中写真ですが、写すものも表現方法も、撮影者の自由だからです。
ここではそれをある程度体系的に分類して、それぞれを習得するための理解の手助けとなるように作成してみました。
あくまで、私、中野が理解している水中写真の枠組みでの解説となりますので、カバーしきれてない範囲についてはご容赦下さい。
図鑑写真というと、少し写真が撮れるようになった頃、「これは図鑑写真だからダメだ」というように、水中写真では蔑視、または揶揄される傾向があります。
どういう意味なのかわかりやすく言うと、「図鑑写真であって作品ではないからダメだ」という意味なのです。
しかしこれは間違った風潮で、図鑑写真も極めれば素晴らしい作品となるのは間違いありません。
その生物が一番美しく光り輝く瞬間に、一番美しい状態で撮影してあげることで生物本来の生と美を閉じ込めた作品とすることができます。
水中撮影での図鑑写真についての詳細はこちら
ミラーレス一眼~フルサイズカメラを使って、中望遠マクロレンズを開放絞りで使用すると、柔らかいボケ味を活かした水中写真を撮影することができます。
こうした写真は最近ではメルヘン写真とも呼ばれています。
優しいボケのある写真は特に日本で人気のある表現方法です。
コンパクトデジタルカメラでは難しい表現なので、こうしたメルヘン的な写真を撮りたいということでデジイチデビューされる方も多いです。
コツは絞りを開放で撮ることや、露出をハイキーとすること、100ミリ程度以上の焦点距離が長めのマクロレンズを使うことなどです。
詳しくはこちら
ミラーレスやデジタル一眼レフを使って中望遠以上のマクロレンズを使用し、開放絞りで撮影することで、背景や前景にある気泡などの点光源の丸ボケを活用する写真を泡メルヘン写真と言います。
光が溢れるような表現が可能になり、希望や喜びを感じるような写真とすることが可能です。
詳しくはこちら
解放絞りのマクロ写真と対極にあるのが、このシャープに絞り込んだ水中マクロ写真です。
表現的には「カリカリに絞った写真」または単に「カリカリ」と呼ばれたりします。
生物の細部までしっかりと描写することができ、絞ることでレンズの中心のスイートスポットを使用するので、収差などの影響も少ない美しい写真となります。
(※絞りすぎによる回折現象に注意が必要です)
焦点距離は短めの中望遠マクロレンズがカリカリ表現には向いており、60~100mmマクロぐらいがベストかと思います。
詳しくはこちら
写真を初めてすぐの頃に、手ぶれをしないように遅いシャッタースピードを切らないように学びます。
ところが、ある程度撮影の経験を積んできた頃に、その常識を破って遅いシャッタースピードで撮影すると、一風変わった表現が可能となります。
水中写真でのスローシャッター表現を解説します。
詳しくはこちら
Text by 中野誠志